関西お好み焼き総研＋

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おこのミシュラン　３７店目
（もだん焼フジのタルタルモダン）



　京都は観光都市であると同時に、学生の街でもある。そのため、学生たち
にお腹一杯食べてもらいたいというサービス精神に溢れた”食べもの屋”が
多くある。
巨大なオムライスで知られる「グリルアローン」や、全国区になった餃子の
王将、そして大きくて、しかも旨いと評判のお好み焼き店「ジャンボ」など。
今回紹介する「もだん焼フジ」もそんなサービス精神に満ち溢れた店だった。

京阪電車の京都側の終点「出町柳駅」を降りて、東方向へ４～５分歩くと、
赤い看板が目に入る。そこが、モダン焼き専門店の「フジ」だ。
店へ入ると、左側に長い鉄板が伸び、右手にテーブル席が２卓ある。かなり
狭い造りではあるが、２～３階席もあるようだ。テーブル席には観光で来た
らしい高校生が陣取り、カウンター席は常連のサラリーマンが座って「もだ
ん焼」を食べている。
それにしても、モダン焼きの専門店というのは珍しい。カウンターの後の壁
を見るとおびただしい数の「もだん焼」メニューが並んでいる。事情通に聞
くと、１００種類以上あるようだが、本当に全部作れるのだろうか？　ちょ
っと気になる。

私はこの店の一番人気である「タルタルモダン」を（恐る恐る）注文した。
1.最初にまぜ焼きの生地を丸く薄く（１センチ厚さ）鉄板に広げた。その状
　態で４～５分放置する。主人は入り口横にある別の鉄板で焼きそばを焼き
　だした。これを持ってきて、生地の上に乗せるのだが、そばの量はかなり
　多い。
2.しばらくしたら、鉄板上に卵を割り、テコで広げてから「そば」の面を下
　にしてのせた。それを裏返して、ソースを塗り、タルタルソースをたっぷ
　りとトッピングすれば出来上がりだ。


【今回食べたお好み焼き】　タルタルモダン　１，２２０円
■生地　　　　やわらかい感じのまぜ焼き。キャベツはかなり細かいみじん。
■トッピング　焼きそばにはキャベツがほとんど入っていない。豚肉が少々。
　　　　　　　　最後に載るタルタルソースはゆで卵たっぷりで、おいしい。
■味　　　　　生地はごく平凡で、焼きそばもごく平凡だ。それを重ねて作
　　　　　　　　るワケだから全体的に平凡な印象だった。サプライズはトッ
　　　　　　　　ピングのみ。
■ソース　　　甘いソースが１種類。オプションで辛いソースも用意。
■店の雰囲気　店内は思ったより狭いので、やや窮屈だ。
■コスパ　　　原価がかかっていそうだが、やはり庶民料理は３桁にしても
　　　　　　　　らいたい。
　　　　　　

◇総合評価　★★　　（満点は三ッ星）
　　　　　　とにかくユニークな店だと思う。ひとつは変わった食材の組み
　　　　　　合わせであり、もうひとつは店主のサービス精神だ。
　　　　　　客との会話を楽しみ、セールストークも嫌味がない。店主の人
　　　　　　柄の良さがにじみ出ている。
　　　　　　惜しむらくは、もだん焼にキャベツ感がないので全体に味が重
　　　　　　くなっていることと、タルタルを口に含んだ時の冷たさからく
　　　　　　る”違和感”だ。
　　　　　　とは言うものの、すべて遊び心で楽しむ店なのかもしれない。
　　　

【お店のデータ】
住所　　京都市左京区田中大堰町８９－５
店名　　「もだん焼フジ」　　
電話　　０７５－７１１－５０８９



（店の外観）


（卵を広げる店主はにこやか！）


（できあがった）


（切ってみると、こんな感じ）