関西お好み焼き総研＋

　
　さて、寿司を食べ終わって店を出ると、すぐに黒門市場の南端に出た。
市場はかなり狭い。東側へ周って、少し歩いてみよう。
人通りが減って、急にさびしくなった。それでも、うどん屋や鰻屋がぽつん
ぽつんとあり、やがて寺が現れた。「神龍院」とある。
更に進むと、「末広湯」という銭湯があって、黄色いニットを着たお姉さん
が入って行った。うむ、色っぽい‥。









うどんでも食って帰るか、それとも居酒屋で一杯飲ろうか？
結局、近くの地下街”なんばウォーク”で、どこか店を探すことにした。

日本橋の地下には串カツの「鳥の巣」があり、お好み焼きの「ぼてぢゅう」
もある。庶民中華の「ミンミン」もあった筈だ。
と考えながら階段を下りると、１軒の居酒屋が目に留まった。店名は「初か
すみ酒房」となっている。「初霞」というのは、確か奈良県の地酒の筈だ。
入ってみよう。

初めて入る居酒屋で何を注文するのかは、ムズカシイ。
口を衝いて出たのは「びんビールと、どて焼きとアジの天ぷら」だった。
いつもいつも同じようなものを頼んでしまう。
ところが、カウンター内のお姉さんは「天ぷらは４時からなんです～」とや
さしい声で言った。そんな薄情な！　しかたがない。それじゃ、うーんと、
「肝煮を‥」。もっとじっくりと考えれば良いのに、急かされた気分になっ
て慌てて追加した。
この店は明るくて良い店だ。コの字型のカウンターの中には女性が４人ほど
も居て接客してくれる。客は”お年寄り”ばかりだ。







「どて焼き」はやや甘過ぎたが、「肝煮」は良かった。鶏レバーの濃厚な旨
みと、さっぱりとした煮汁のバランスが良かった。
周りの客は、おでんを食べ、「アジの南蛮漬け」を食べている。平和な昼下
がりである。さて、これで終わるのでは、ちょっと欲求不満が残る‥。
そんな思いのまま店を出た私は、近くに新しい蕎麦屋を見つけた。
店の名は「そば名人　利休亭」という。うむ、イイ店名だ。ここで〆のそば
をいただいてから帰ろう。

温かい蕎麦をつゆに浸して食べるという「利休そば」にも惹かれたが、ここ
は素直に「ざるそば」を注文した。ついでに冷酒「久保田（千寿）」をもら
っちゃおう。
オーダーすると、おばちゃんが「ざるそばは大盛りにできますが‥」と言う。
どうやら同じ値段で、大盛りサービスをやっているらしい。初めての店はこ
ういった咄嗟の判断がムズカシイ。誘惑に乗りやすい”小市民”のわたしは、
思わず「それじゃ、おおもりで・・」とつぶやいていた。









間もなく運ばれてきた”大盛りざるそば”を食べながら私は激しく後悔した。
食べても食べても麺が減らない。つゆはさっぱり系で美味いのに、蕎麦の量
を意識するあまり、素直に味わえない。

”昼下がりの蕎麦屋で清酒をいただきながら、シンプルなせいろをたぐる。”
そんな小粋な場面の筈が、大食いガマン大会のようになってしまった。反省！
半分ほど食べたところで、私の箸は止まり、ギブアップ宣言‥。



◇「初かすみ酒房　なんばウォーク 店」　大阪市中央区千日前１－３
　　　　　　　　　　　　どて焼　　　　　　３８０円
　　　　　　　　　　　　肝煮　　　　　　　３００円
　　　　　　　　　　　　ビール大瓶　　　５３０円


◇「そば名人　利休亭」　大阪市中央区千日前１－５－１２　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　なんばウォーク
　　　　　　　　　　　　ざるそば　　　　　６５０円
　　　　　　　　　　　　久保田（千寿）　７５０円