関西お好み焼き総研＋

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　　　　　　　　　　　関西お好み焼き総研＋（プラス）　

　　 　　　「ジミヘンのぶらり下町食べ歩き」　（ジミぶら）　

　　　　　　　　　　　　 第１０号 (2011-6-20)

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　皆さん、お元気ですか。ジミヘンです。

　正直に言うと、私は「阪神尼崎駅界隈」が好きで頻繁に歩いている。
飾らない雰囲気の中にいると、とても居心地がよい。
いつもは尼崎から出屋敷方面へ歩いているのだが、今回初めて逆ルートを歩
いてみた。
特に変わる部分はなかったが、出屋敷エリアのディープさが更に際立って感
じられた。



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　■ジミヘンの関西下町研究　
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　尼崎三和本通商店街

▼ぶらり下町食べ歩きで撮った写真をつなぎ合わせて「フォトムービー」に
してみました。どうぞ、ご覧ください。

　　　　「尼崎三和本通商店街」（ユーチューブ動画）

　　　　　　＝＞　http://www.youtube.com/watch?v=HEDWGYDnyk4






▼尼崎は兵庫県の中の「大阪」

尼崎は不思議な町である。行政区分上は兵庫県に属しているが、実態は「大
阪」だ。電話局番も大阪と同じ”０６”。ざっくばらんな住人の気質も大阪
に限りなく近い。

尼崎のことを地元民は、愛着と卑下を交えて「アマ」と呼ぶ。
アマ出身の著名人は多彩だが、最も特徴的な人物はダウンタウンの２人だろ
う。他にも「岡八郎」「島木譲二」「井上竜夫」などお笑い芸人が多い。
また、「中島らも」や「勝谷誠彦」のようにクセのある文化人も生んでいる。



▼車谷長吉が書いた「赤目四十八瀧心中未遂」は壮絶な小説である。
鬱々とした自己嫌悪と限りない人恋しさに溢れている。
氏は私小説家として知られるが、この作品は創作であると後に語っている。

氏は三十代のほとんどを飲食店の下働きとして過ごした。関西各地を転々と
する中、尼崎にも暮らした。その時の経験がこの直木賞受賞作を生み出した
と言える。

「阿呆者」というエッセイ集の中でこう書いている。
『私の生き方を嘲笑う人がたくさんいた。ことに三十代の八年間、料理屋の
下働きをしていた時は酷かった。ところが、以後、三島由紀夫賞や直木賞を
貰うと、人はぺたりと掌を返すのだった。さもさも私を偉い者のように取り
扱うのである。』

彼は刃物のような人である。扱い方を間違うと人を傷つける。
そして、悩みは深い。「聖者の歌」という一文にはこう書く。
『人の一生は生まれた瞬間から、刻々、死に向かって行進しているのである。
何のために生きているのか、と言えば、死ぬために生きているのである。
（中略）あした人に殺される牛は、それと知らずに草を食んでいる。ところ
が人間だけはいずれ自分が死ぬことを知っている。これが人間の最大の不幸
である。』

怨念の作家、車谷長吉はアマの薄暗いアパートの一室で、人生への絶望と文
学への憧憬との狭間で悶々と身もだえていた。