関西お好み焼き総研＋

　大阪風のふっくらとしたお好み焼きのルーツと言えば、やはり「西成」で
ある。戦後まもなくの頃からずっと営業を続けている下町のお好み焼き店が
たくさん残っている。
昨年、そんな店のひとつである花園町の「たんごや」さんを訪れたときに近
くの商店街を歩いた。何とも庶民的で、どこまでも続く長い商店街が気に入
った。今回はその鶴見橋商店街の端から端までを歩いてみようと思う。

地下鉄四ツ橋線花園町駅で下車し、まずは逆方向の南へ歩く。折角ここまで
来たので、以前行きそびれた”たこ焼きの名店”に立ち寄ることにした。
「一富久（いちふく）」は、スーパーイズミヤの南側の通りに建っていた。
店頭で小学生がソフトクリームを食べ、店内では近所のおばあちゃんがたこ
焼きを頬張っている。
私は「たこ焼きねぎのせ６個入り」を注文して、店内の様子を観察する。
家族経営の気取らない店だ。メニューは、たこ焼きといかやき、そして”と
ころてん”とソフトクリーム。昔、子供たちが集まった駄菓子屋のようで、
うれしくなる。







まもなく焼き上がったたこ焼きには、たっぷりの刻みネギが載っていた。
最初に卓上の二杯酢をかけていただく。ふっくらとしたたこ焼きは、思った
より水分が多いトロ系であるが、出汁の味がよく効いている。
後半は例によってソースをかけた。やはり、こっちの方が良い。粉もんは結
局、ソース味が一番うまい。


鶴見橋商店街に入る。東の端が鶴見橋一番街になる。八百屋があり、服飾店
があり、ミニスーパーがある。店頭でお好み焼きやたこ焼きを焼く店が多い。
豚玉１枚が２５０円程度。近所のおばちゃんたちは店に入らずに、テイクア
ウトして家でつまむのだろう。












商店街から枝のように伸びる左右の路地をのぞく。狭い路地には古い住宅が
びっしりと軒を連ねている。そんな路地の奥に小さな公園があった。おじさ
んがのんびりと立ち話をしている。
温かい日差しに桜の花がほころんでいる。

商店街に戻ると、一軒のお好み焼き屋があった。店名は「万味屋」、ここで
生ビールでも飲むことにしよう。　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（続く）








◇たこ焼　「一富久」　　大阪市西成区花園南１－９－３０
　　　　　　　　　　　　　　　たこ焼き（ねぎのせ）　２４０円

◇お好み焼き「万味屋」　大阪市西成区鶴見橋２－４－８
　　　　　　　　　　　　　　　　いか焼きそば　　５００円