関西お好み焼き総研＋

　明石の春は”いかなご”と共にやって来る。「新子のくぎ煮」を食べない
と何か忘れ物をしたような気になる。
いかなご漁で活気づく明石を訪ねることにした。

山陽電車明石駅を降り、海岸方向へ向かう。通い慣れた道だ。
魚の棚（うおんたな）商店街に入ると、大変な人出。近在の主婦たちが”い
かなご”を求めて集まっている。店頭では新子（いかなごの稚魚）が１ｋｇ
単位で売られている。
もちろん「くぎ煮」も並ぶ。だから町全体に「くぎ煮」の甘い香りが漂って
いる。











商店街の中にある「玉子焼（＝明石焼）」の店も相変わらず繁盛していた。
地元のおばちゃんも多いが、観光客も多い。
さて、どこで昼食をとろうか。「浪花」の寿司でもよいし、「山陽亭」の洋
食でもよい。色々と迷った末、一度も入ったことがないジモティ御用達の古
いお好み焼き屋「あさひ」さんに入ることにした。
商店街の枝道にあるこの店は、おそろしくレトロ感にあふれている。一般の
客は二の足を踏んでしまうが、今回は勇気を奮ってトライしてみよう。





ここは「客焼き」の店である。客が自分で生地を混ぜ、大テコを使って焼く。
「ぶた焼」が１枚３００円也。まるで昭和３０年代の駄菓子屋に迷い込んだ
ような錯覚にとらわれる。
私は「ぶた焼」に玉子を付けてもらって焼いた。ふっくらとした生地と甘い
ソースに伝統の力を感じる。ああ、うまい。近所に住んでいたら、毎日でも
通いたい‥。









腹が膨れた私は、お気に入りの喫茶店「ＰＡＰＡ」で珈琲をいただくことに
した。店主がサイフォンで淹れてくれるコーヒーはなかなかのもの。ウッデ
ィーなテーブルや軽いジャズのＢＧＭも心地よい。大好きな場所のひとつだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （2011.3記）



◇お好み焼き「朝日」　　明石市本町１－４－１　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　ぶた焼（玉子付き）　３５０円

◇喫茶「カフェ・ド・パパ」　明石市本町１－４－１６　　
　　　　　　　　　　　　　　　　コーヒー　３５０円