関西お好み焼き総研＋

　最近流行りのスーパー銭湯ではなく、古くからの”銭湯”然としていると
ころが良い。番台で入浴料を払い、ついでにタオルも買った。





昼下がりの銭湯はお年寄りのたまり場である。湯船ではおじいさんが頭に手
拭いを載せて目を閉じている。
浴槽は４つほどあるが、一番人気は「源泉かけ流し」の湯。狭い湯船にぎっ
しりと男たちが入っているところがほほえましい。入ってみると、ひんやり
とする。体温よりもやや低い温度のよう。湯は少し茶褐色を帯び、若干の温
泉臭がした。じっとしていると段々とポカポカしてくる。だからみんなじっ
として動かない。

源泉を加温した浴槽と、ややぬるめの露天風呂、そしてジェットバスなど多
彩な風呂を楽しめる。人気が高いのもうなずける。
汗を拭きながら服を着ていると背広姿の若いサラリーマン君が入ってきた。
さては困難な商談を終えてひと汗流すのか、それともこれからの勝負の商談
に向かう前にさっぱりとしようということなのか‥？　
銭湯はイイなあ。昔、子供たちは銭湯で大人のたくましい身体を見て驚きと
尊敬の念を抱いたものだ。最近はそれがなくなってしまった。









水道筋商店街に戻り、山側を並行に走っている市場を見て回る。
本通りと違って、鮮魚店が多い。活きの良い鮮魚がピチピチとはねている。
そして、八百屋、鶏肉専門店、惣菜店なども活気に満ちた顔を見せる。
買い物カートを引いたおばあちゃんが魚屋の主人としゃべっている。「今晩、
何にしようかしらねえ‥？」
昔の主婦は皆こうだった。その日に揚がった新鮮で安い魚を見つけて、調理
法を店の主人に相談する。そんな市場が減ってしまったのがとても残念だ。


さあて、そろそろ昼酒をいただこう。
地元の呑ん兵衛たちの支持を集める串かつ屋があるので、訪ねてみることに
した。メインストリートの真中あたりにある「パンダ飯店」という中華料理
店のすぐ横に店はあった。
店の名は「一燈園（いっとうえん）」。グリーンのストライプ柄のシートで
囲まれた立ち呑み屋感覚の気取らない店だ。









とりあえず瓶ビールを注文し、串かつメニューの中から「肉かつ・くじら・
いも・レンコン」をセレクトした。
厨房から串を揚げる音と油の甘い香りがして、まもなくキャベツと共にやっ
てきた。既にソースがかかっている。大阪ではみんなで一緒にソース壺を使
い、「二度漬けはあかんでぇ」というルールだが、ここではキッパリと店側
が掛けて出すスタイルだ。
ソースの味も違う。大阪では「みりん」や出汁を加えた甘くて和風の味が好
まれるが、こちらでは地元のスパイシーなウスターソースをそのまま使って
いるようだ。
”大阪の串かつ”と”神戸の串かつ”。それぞれに違っていて、面白い。



◇「灘温泉　水道筋店」　神戸市灘区水道筋１－２６　　
　　　　　　　　　　　　　　　入浴料　４１０円　　タオル　６０円

◇串かつ「一燈園」　　　神戸市灘区水道筋５－２－２４　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　串かつ（４本）　　３７０円
　　　　　　　　　　　　　　　ビール大瓶　　　５００円