関西お好み焼き総研＋

　商店街を抜け、脇道に入った。民家の中に若干の飲食店などが点在してい
る。古い民家を改造してカフェにしたようだ。梅田近くの中崎町を彷彿させ
る。茶褐色の二階建て民家がずっと続いている。
再度、商店街に戻り、東方向へ歩く。小さな食堂があり、鄙びた寿司屋があ
る。さて、どこで昼食をとろうか？







谷町筋の交差点を渡り、「空堀通商店街」へ入ったが、ここは西の「はいか
らほり商店街」よりも圧倒的に短かい。アッと言う間にアーケードが途切れ
た。近頃、（日本一長い）天神橋筋商店街をよく歩いているので、他所の商
店街を悉く短く感じてしまう。
交差点近くにカレー屋を見つけた。店名は「伽麗伊屋（かれいや）」。若い
サラリーマン君が何人も吸い込まれていく。よし、ランチはここにしよう。

変形のカウンターが袋状に伸び、４０人位が座れそうなオオバコの店だった。
大好物の「カツカレー」を注文する。カレースプーンを包んだ袋には、こん
なコピーが書かれていた。
「やっかいなカレー。　やっかいなカレーは何故手づくりなのか？」云々。
どうやら長時間煮込んで作るのがやっかいだ、ということらしい。
ふふふ、面白い。益々楽しみになってきた。







さて、ほどなく登場したカツカレーは平凡なものであったが、この味を求め
て多くの若者が来店するのだから地元に親しまれている店なのだろう。


店を出て、谷町九丁目方面へ歩くことにした。途中、近松門左衛門の墓が突
然現れる。大阪が誇る劇作家の墓は意外にもマンションの脇にひっそりと立
っていた。
上本町ハイハイタウンに着いた私は居酒屋に入り、熱燗と「きずし」を注文
した。カウンターに腰をかけて昼酒を飲んでいるのはくたびれたおっさんば
かり。









さきほど道路脇の標識で見かけた「高津宮」のことが気になっていた。やは
り訪ねてみるべきだったか。
そのとき私の耳に桂文枝の甲高い声が響いた。

　　　”瀬をはやみ～、岩にせかるる滝川の～”

それは高津宮が登場する落語”崇徳院”の一節であった。



◇カレー「伽麗伊屋」　　　大阪市中央区谷町７－１－３９
　　　　　　　　　　　　　　　　カツカレー　８００円

◇居酒屋「ハイハイ横丁」　大阪市天王寺区上本町６－３－３１　
　　　　　　　　　　　　　　　　　きずし　３５０円　　だし巻　３００円