関西お好み焼き総研＋

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ジャンル：４－３　居酒屋系－一品料理

（「立ち呑み処 たなか屋」のしめ鯖）



　狭く暗い通路を抜けると、そこは「奇跡の立ち飲み屋」だった。カウンタ
ーの周りには笑顔があふれていた。
私は咄嗟にＡ．Ｌ．ウェバーのミュージカル「オペラ座の怪人」を思い出し
た。ファントムが息をひそめて棲む地下迷宮はめくるめく桃源郷だった。

魚の棚（うおんたな）にスゴイ立ち呑み処があるという噂はかねてより耳に
していた。とある日曜日の昼下がり、私は念願の店に足を踏み入れた。
頭を打ちそうな低いくぐり戸を抜け、店に入る。まるで、秘密倶楽部のよう
だ。昼を少し回った時間帯だというのに、満員の盛況で盛り上がっている。
私はカウンターの間にすべりこんで、おススメの日本酒を聞いてみる。「こ
くのある純米酒はありますか？」と訊くと、主人は１本の一升瓶を取りだし
た。三重県の地酒で「作（ざく）純米原酒しぼりたて」という銘柄だという。

早速、喉に落とし込むと、なんとも芳醇な旨みが口いっぱいにひろがった。
ああ、うまい！　やはり、酒のことは酒屋に聞けということだ。
さて、つまみは何にしよう。目の前にたくさんの大皿料理が並んでいて、目
移りしてしまう。タコの煮物やブリ照り焼きのような和風だけではなく、ニ
シ貝のガーリックバター焼きやポトフなどワインに合いそうなメニューも豊
富だ。
私はとりあえず、「しめ鯖」を注文して待つことにした。客は２０人ほどい
るだろうか。ひっきりなしに酒やつまみを注文するので店のスタッフは大忙
し。常連らしきおっちゃんと横浜から来たという若いお嬢さんが喋り出す。
みんな楽しそうだ。
まもなくやって来た「しめ鯖」を食べて、私は絶句した。すっきり爽やかな
中にたっぷりの脂を含んだ身は、はじめて口にする美味だった。

【今回食べたＢグルメニュー】　しめ鯖、肉豆腐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　清酒（純米酒）　合計１，４４０円　　　
　　　　　　　　　　　　　　　
【レビュー】
　　　　　　私は今でも少しコウフンしているようだ。結論から言おう。
　　　　　　この店は噂通りの「美食系立ち飲み居酒屋」であった。

　　　　　　続いて注文した「肉豆腐」はヒネリはないが、王道の美味さで
　　　　　　ある。ああ、もっと食べつくしたい。飲みつくしたい。
　　　　　　あるブロガー氏は「本当は教えたくないお店のひとつなんです
　　　　　　が‥」と断りながら店を紹介していた。その気持ち、よく分か
　　　　　　るよ。これほどの店が近所にあったら、毎日でも通いたい。


◇おススメ度　★★★　　（満点は三ッ星）
　　

【お店のデータ】
住所　　明石市本町１－１－１３
店名　　立ち呑み処「たなか屋」　　
電話　　０７８－９１２－２２１８


















（ラヴィリンスへの入り口・・）


（にぎやかな店内）


（目の前の「すじこん」も気になる）


（肉豆腐は「すき焼き」のように甘くておいしい・・）


（活気がある「魚の棚商店街」）