関西お好み焼き総研＋

　月に一度のお楽しみ、動楽亭の昼席を見終わって、さてどうしようかと思案する。
ジャンジャン横丁で串カツをつまむか、それとも「奴すし」で、寿司でもつまもうか？
そうだ、一度近くにあるお好み焼き屋を訪ねてみよう。界隈のお好み焼き店と言え
ば、「西成わだ」しか知らなかったが、最近「ちとせ」という路地裏の老舗の存在を
知った。


　　　　　


動楽亭から徒歩３分ほどで「ちとせ」へ着いた。これは、近くてイイや。
引き戸を開けて渋い店内へ入ると、初めてなのになんだか懐かしい感じがした。
カウンターの中に店主らしきおやじさんが居て、その前で年の差カップルが楽しそ
うに盛り上がっていた。
カウンター席の他に鉄板テーブルが２卓あるだけの至ってこじんまりとした造りであ
る。


　　　


筆者はメニューの中から「豚モダン」を選び出して注文した。外は雪が舞うような寒
さであるが、ビールの一口目がやたらとウマイ。
壁を見ると、何枚もの色紙が張られていた。よく見ると、動楽亭に出演したであろう
米朝一門の落語家が多いようだ。米團次師匠を始め、小鯛君や鯛蔵君などの若手
まで、２０枚くらいある。
なるほどそうか、高座に上がって帰りに一杯となったとき、いつも高い店に行く訳じ
ゃない。こういった庶民店でビールを飲みながら、芸談に話が咲くのだろう。


　　　


さて、焼きあがったようだ。カップルの陰に隠れて焼いている様子はよく見えなかっ
たが、チラチラと垣間見えた。混ぜ焼きの上にソースをからめて軽く炒めた焼きそ
ばを乗せた。そして、焼き上がったモダン焼きにたっぷり過ぎるほどマヨを全面に塗
り、ソースを塗った。


　　　　　　　　　　　　　


かなりの厚みがあるのでどうかナと思いながら、テコで切り分ける。
おお、ふっくらしている。ウマイ！　　出汁の味がしっかりと付いた生地に柔らかい
中華麺がよく合っている。そして、たっぷりのソースとたっぷりのマヨだ。
容赦のない「コテコテ攻撃」がこの店の特徴であり、店主の売りなのだ。ビールをグ
ビらずにはいられない濃厚さ。この店は大阪で一二を争う”コッテコテのお好み焼き”
を出す店だ。



　　　


　　　　◇お好み焼き「ちとせ」　
　　　　　　　　大阪市西成区太子１－１１－１０　　　

　　　　　　　　　　豚モダン焼き　　　　　　 　７００円
　　　　　　　　　　瓶ビール（大）　　　　　　　５００円