関西お好み焼き総研＋

　　　


　以前からずっと気になっていた阿倍野の粉もの屋「たこつぼ」を初めて訪れた。
明石焼きが評判らしいが、ネット上に掲載された超弩級の「とん平」が目に焼きつ
いて離れない。１枚９００円也のとん平焼きってどんなものだろう？

久しぶりに歩く阿倍野界隈は、超高層ビル”あべのハルカス”や巨大施設”キュー
ズモール”などが出現して随分と華やいでいるが、梅田やナンバに比べると、ロー
カルな雰囲気を払拭できない。
目の前をレトロな路面電車がゴトゴトと走っているせいだろうか。


　　　　　　　　　　（こんな路地を入っていくと・・・）
　　　　　　　　


さて、阪堺電車の軌道に沿って南下し、小さな路地を入るとモダンな「タコ焼き屋」
があった。店内はスッキリとした造りである。ＢＧＭもたこ焼き屋とは思えないＰＯＰ
なもの。鉄板テーブル席が４卓ほどあって、夜飲みにもピッタリの雰囲気だ。
メニューを見ると「とん平」が９５０円になっていた。おおっと、値段もどんどんとビッ
グになっている。とん平とビールだけというのも、何だかマヌケなので、ごはんと味
噌汁を付けて、”とん平定食”のようなものにした。

坊主頭の青年が早速調理を始めるが、厨房の中は見えないので勝手に想像する。
１）大きなとんかつ用の豚ロース肉を叩き、軽く下味をつける。（あくまでも想像です）
　　これを鉄板に載せ、蓋をしてじっくりと焼く。途中何回か上下を返す。
２）肉に火が通れば、横に卵を割り落とし、肉を乗せる。
　　次に水で溶いた小麦粉の生地を上から垂らして、鉄板でしばらく焼く。（しつこい
　　ようだが、あくまでも想像です）
３）最後に肉を１センチ幅に切り分け、ソース・マヨ・辛子をかける。


　　　


注文してから、なんと２０分ほど経って目の前に登場した。待ってました！
待っている間もなぜか楽しかった。いつものようにイライラしなかった。分厚い肉を
じっくりと焼いてほしいという思いが強かったからかもしれない。
早速、一切れつまんで口へ。オオッ、オオオッ！　スゴイ。
肉の厚さが２センチほどもある。適度にやわらかく、適度に歯ごたえもある。
これはノー文句の旨さだ。夢中になって食べた。肉を食らい、ごはんを食む。


　　　

　　　　　　　　　　　　　　　


ランチにしては高プライスの”ポークソテー定食”と見てもよいが、やはりこれは粉も
の屋が作る料理だ。上面の玉子と底面の生地が「オレはとん平だ！」と主張する。
とにかくすごいボリュームだった。２０才の若者ならペロリと平らげるだろうが、筆者
のような小食ロートルおやじにはキツイ。満腹になった腹をさすりながら店を出た。
「ごちそうさま。おいしかったです。」

これは大阪・阿倍野の名物になるだろう。三重県に”四日市トンテキ”があり、大阪・
阿倍野に「たこつぼとん平」がある。２０分間かけてじっくりと焼いた弩級のとん平焼
きだ。そのためにも、ランチタイムにはもう少し小さな肉を使った（千円以下の）「とん
平定食」を用意してほしいなあ。





　
　　　　◇明石焼「たこつぼ」
　　　　　　　　大阪市阿倍野区阿倍野筋２－４－４８　　　　　　

　　　　　　　　　　とん平　　　　　　 　　　９５０円
　　　　　　　　　　ごはん・味噌汁　　　　１６０円