関西お好み焼き総研＋

　　　


　”大阪風まぜ焼き”を出す店はハッキリ言って、どこも同じような印象だ。
ふわふわ感以外に特徴を出すのがムズカシイからかも知れない。
ネットを見ていて、高評価のこの店を知った。京橋にある「花」という小さな
店である。

ＪＲ京橋駅の周辺は、方角が分かりにくいので苦手だ。阪神間で育った者
にとって、道が東西南北に走っていないと不安になる。
私の場合、京橋の基点を特徴的な建物？の”グランシャトー”にしている。
今回はそこから北西へ７～８分ほど歩くと到着した。路地にひっそりと佇む
可愛らしい店だった。


　　　


店内はＬ字型の白木カウンターがある夜飲み店風である。やや照度を落と
し、ＢＧＭにはイイ感じの女性ボーカルが流れている。メニューの中から、
「豚もだん」と瓶ビールを注文し、テレビのニュース番組を見ながら待つ。
客席からは見えない厨房で焼いてくれる。目の前の黒板には夜の居酒屋
メニューやボトルワインの案内があって、お好み焼き屋然とはしていない。


　　　　　　


さて、１０分間ほどが経過してモダン焼きが運ばれた。
店主が手造りしたであろう個人用のミニ鉄板に乗せられたモダン焼きは、
思ったよりボリュームがある。テコで切り分けながら箸でいただいた。


　　　


うむ、なるほどふっくらとして美味しい。かなりレベルの高い”大阪モダン”で
ある。玉子感が強い生地と、ボリュームのある中華麺、そして甘いソース。
とは云うものの、総体的には至って「平凡な」お好み焼きである。
この店は多分、夜になって繁盛するカウンター居酒屋なのだろう。客は気の
利いた酒肴をアテに酒を楽しんだ後、〆に豚玉や豚もだんを焼いてもらうの
だ。


　　　


ごちそうさまでした。会計を済ませると、女性店員が「店主からです」と言っ
て、かわいい”本の栞”を渡してくれた。そこには店主が描いたと思われる
城郭の細密画があった。うむ、この店が客に愛されている理由をそのとき
考えた。

　　・気取らないから入りやすい店。構えなくてよい。
　　・そして、雰囲気が良いので長居したくなる。落ち着ける店。
　　・ていねいに焼かれたお好み焼きは、レベルが高い上にコスパ良し。
　　・ほのぼのとした接客が心地よい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　
つまり、一度行った客をファンにしてしまう不思議な魅力を持つ、隠れ家風
の店だった。だから愛情をこめた口コミ・コメントを語るのだ。




　　　


　　　　◇お好み焼　「花」
　　　　　　　大阪市都島区東野田町４－２－１５　

　　　　　　　　　豚もだん　　　　　 　　７００円　　　　　
　　　　　　　　　ビール中瓶　　　　　　５００円