岐阜・長良川への旅  【岐阜市】   1/2

ジミヘン

2011年09月28日 07:57



「ジミぶら」シリーズの最終回は近畿圏を離れ、岐阜へぶらり旅して
きました。



   


 ジリジリジリーッ! JR大阪駅11番ホームの発車ベルが鳴り続けてい
る。発車間際の長野行「しなの9号」に、私は危うく飛び乗った。この特急
に乗り遅れたら、新幹線を乗り継いで行くしかなかった。

今回の小旅行の行き先は岐阜県岐阜市。かつて、高山・下呂・郡上八幡を旅
し、その素晴らしさに魅了された。川の水はあくまで清く、その清流を住民
たちが誠実に守り続けている。土地の郷土料理は味噌や山菜を使った素朴な
ものだが、飽食の日本にあって、感動する美味しさであった。


文庫本を開き、うとうとしていると、1時間半ほどで岐阜駅に着いた。
驚いたことに駅前には黄金の「織田信長」像が立っていた。これほど派手な
像を見たことがない。まるで”金ピカ先生”だ。







とりあえず、タクシーに乗って長良橋まで運んでもらう。初秋とは言え、厳
しい残暑である。ハンカチで首筋を拭いながら、長良川の河岸を歩いてみる。
大らかな川の流れの向こうには緑濃い「金華山」が望める。その頂上には、
岐阜城の天守閣が、まるで山頂展望台のように見えた。





「鵜飼の里」と呼ばれる町内を歩く。現役の鵜匠がこの町に住んでいると聞
く。その中で、喫茶店風の食事処「鵜の庵 鵜」を見つけた。駅の案内所で
気楽に鮎が食べられる店として紹介してもらったところだ。

席に着くと、窓ガラス越しに大きな鵜が羽根をいっぱいに広げた。この店を
経営する鵜匠が鵜を放し飼いにしているらしい。大きな羽根をバタつかせた
り、鋭いくちばしで自らを毛づくろいしている。

私はメニューの中から「鮎の塩焼き」とビールをお願いした。塩焼きを食べ
ないと全てが始まらない。
15分間ほども鵜をながめながら待った。運ばれた塩焼きは体長15センチ
ほどの小ぶりな鮎であったが、塩の加減が絶妙な上に、腹にはたっぷりの卵
を抱え込んでいた。やはり鮎は美味しい






長良川の南側一帯は「岐阜公園」として整備されている。戦国時代、岐阜城
を攻略した信長の館があった跡であり、また明治時代、板垣退助はこの地で
暴漢に襲われ、”板垣死すとも自由は死せず”と名言を残した。





金華山ロープウェーに乗って天守閣に昇ることにしよう。道路わきに「信長
公・道三公ゆかりの岐阜城
」という幟がはためいている。
1567年、斉藤道三の孫である龍興を倒した織田信長は城に入り、この地
一帯を平定した。名称を稲葉山城から岐阜城に改め、後に安土城が建設され
るまでの9年間ほどの間、天下統一の拠点とした。







天守閣からの眺めは素晴らしいものだった。さえぎる物のないその眺望を道
三が、そして信長が眺め見たに違いない。
木洩れ日の中、坂道を下りながら考えた。尾張や美濃は云ってみれば、日本
の中央部に位置している。ここから信長・秀吉・家康という日本統一に野心
的な武将が輩出したのも、道理だとうなずける気がした。

    秋暑し 国盗りの夢 金華山  (ジミヘン)






岐阜公園の近くに古い家並みが残る通りがあると聞いて、訪ねてみた。
広い通りの両側に格子戸の町並みが続き、風情のあるエリアであったが、観
光客にとってはやや素っ気ない感じがした。
高山・郡上八幡の古い町並みや、広島県竹原市のような落ち着いた雰囲気を
想像していたのだが、もう少し観光客に見せる工夫がほしかった。
                                  (続く)



◇「鵜の庵(いおり) 鵜」 岐阜市長良中鵜飼94-10 
                鮎の塩焼き    1,000円
                ビール(大瓶)    700円




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