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2012年03月07日
路地裏で見つけた昭和 「野村」(福山市・鞆の浦)
駄菓子屋の奥で一枚の鉄板を囲み、
おばあちゃんが焼く”洋食”を愉しんだ。
【地方の名店】「野村」
退屈なので旅をしようと思うが、適当なところを思いつかない。
秋田や熊本は遠くて大変だし、北陸や岐阜や四国はいつも行っている。
暖かくて、一度も行ったことのない場所。
ふと、「鞆(とも)の浦」を思い出した。鯛網と美しい島並の景勝地、最近
ではポニョの舞台として、そして道路建設か景観保存かで新聞紙面を賑わせ
ている町。
”鞆の浦”は広島県福山市の沿岸部にある港町。潮待ちの港、風待ちの港と
して古来より知られる瀬戸内有数の歴史ある町だ。
ネットで町の情報を探していて、小さなお好み焼き店があることを知った。
その店は、おばあちゃんが一人でやっている。お好み焼きとおでんを目当て
に近所のお年寄りが集まると云う。
◆店の概要
立地 : 古い港町の路地裏
タイプ : 広島風に近い洋食焼き
焼くのは: 店焼き
塗るのは: 店塗り
路地裏度: ★★★ (限りなく常連仕様である)
どんよりと曇ってはいるが、雨が落ちてくる気配はない。
新神戸から新幹線「さくら」に乗り込み、1時間足らずで福山駅に着いた。
駅の南口へ出ると「五浦釣人」と題された老人の銅像が立っていた。
この老人はこんなところで何を想う?
鞆鉄バスに乗り、芦田川に沿って下っていくと、30分ほどで鞆港に到着。
深く入りこんだ入江にたくさんの漁船が係留されている様は、岡山の日生港
や兵庫室津港を連想させる。
とりあえず、古い街並みを歩いてみることにした。戦災に遭っていない鞆の
町は、江戸時代の屋敷や蔵が往時のまま残っている。港のシンボルである常
夜燈へ向かう通りはしっとりとした風情がある。薬味酒「保命酒(ほうめい
しゅ)」の醸造元である太田家の建物群が立派だ。
常夜燈の周りではバスでやってきた観光客が町ガイドのおじさんの説明に耳
を傾けている。
龍馬ゆかりの「いろは丸記念館」はスルーした。
所詮、龍馬ら海援隊が事故の「示談」をうまくやった、というだけのことだ。
さて、町を歩くと方々の建物で「ひな飾り」を展示していた。どうやら「町
並ひな祭」と称し、町を揚げて観光客を楽しませようという趣向のようだ。
丘の上に立つ「歴史民俗資料館」でも立派な”ひな祭り・七段飾り”が展示
されていた。ひな祭りもまた江戸時代以降、民衆の間でひたすら大切に受け
継がれてきた。
小腹が空いてきた私はお好み焼きの「野村」さんを探すことにした。
鞆鉄バスセンターの裏手を、いつものように嗅覚を頼りにうろうろすると、
すぐに見つかった。幅3メートルほどの狭い路地に面したその店はノレンが
なければ、通り過ぎてしまっただろう。
薄暗い店内に入ると、奥に鉄板テーブルが一卓あり、おじさん2人がビール
を飲みながら焼きそばとおでんをつまんでいた。
私は壁のメニューから「豚玉そば入り」を選び出しておばあちゃんにお願い
し、セルフで缶ビールを取り出した。
さて、どんなお好み焼きを焼いてくれるのだろう? 興味津々だ。
1.驚いたことにベースは混ぜ焼きだった。
細く千切りにしたキャベツと生地を混ぜて鉄板に丸く広げる。
生地の中に塊が見え隠れするが、”ちくわ”だろうか?
その上に豚バラ肉をたっぷりと並べた。
2.次にビニール袋を破って中華麺を取り出して、生地の上に広げて載せる。
うーむ、大胆だ。焼いていない豚肉の上に麺である。
3.間もなく裏返して、へら(広島ではこう呼ぶ)でしっかりと押さえつける。
つまり、麺サイドをしかりと焼く「変わりモダン焼き」の形態である。
しばらく焼いてから横に卵を割り落とし、その上にお好み焼きを被せた。
表に返し、ソースを塗る。
粉かつお、青のり、紅生姜を振ってから私の前にスライドさせた。
実にうまそうだ。早速いただいてみよう。
(続く)
「野村」(福山市・鞆の浦)
「すえちゃん」(神戸・住吉)
東神戸ワイルド派の雄 「すえちゃん」(神戸・住吉)
「高砂」(神戸・和田岬)
絶品の”チャンポンもだん” 「高砂」(神戸・和田岬)
「白樺」(大阪・住吉大社)
「すえちゃん」(神戸・住吉)
東神戸ワイルド派の雄 「すえちゃん」(神戸・住吉)
「高砂」(神戸・和田岬)
絶品の”チャンポンもだん” 「高砂」(神戸・和田岬)
「白樺」(大阪・住吉大社)
Posted by ジミヘン at 07:57│Comments(2)
│おこのほそ道
この記事へのコメント
懐かしい印象を受ける店ですね。
昭和40年前後の高知県では、こうした店ばかりでした。
必ずおでんがセットでありました。
大根、昆布、コンニャク、タマゴ――タマゴだけ2倍の値段でした。
お好み焼きは何十円の世界だったでしょうか。
あまり具のない汁を焼いたのにソースを塗れば、それでお好み焼き。
そんな粗末なものでもおいしかった記憶が残っております。
人間、あんまり贅沢になったらあかんなあと痛感します。
ジミヘンさん、えらい寂しい話ですね。
食べる人の顔を考えて焼くのもまた楽しいのですが。
もったいない話だと思いました。
私は食べてくれる人がいて幸せと感じました。
昭和40年前後の高知県では、こうした店ばかりでした。
必ずおでんがセットでありました。
大根、昆布、コンニャク、タマゴ――タマゴだけ2倍の値段でした。
お好み焼きは何十円の世界だったでしょうか。
あまり具のない汁を焼いたのにソースを塗れば、それでお好み焼き。
そんな粗末なものでもおいしかった記憶が残っております。
人間、あんまり贅沢になったらあかんなあと痛感します。
ジミヘンさん、えらい寂しい話ですね。
食べる人の顔を考えて焼くのもまた楽しいのですが。
もったいない話だと思いました。
私は食べてくれる人がいて幸せと感じました。
Posted by 夷川下 at 2012年03月07日 20:03
ハハハ、粉もんは自分だけで食べていますが、
普段は家族の好みの料理を作っていますよ。
食の好みが違うのは、どうしようもありませんね。
鞆の「野村」さんの雰囲気はイイでしょ。
私もこんな店が大好きです。
普段は家族の好みの料理を作っていますよ。
食の好みが違うのは、どうしようもありませんね。
鞆の「野村」さんの雰囲気はイイでしょ。
私もこんな店が大好きです。
Posted by ジミヘン at 2012年03月07日 22:55